たぴ岡文庫

今宵も語る、どこかの誰かの物語

小説「君を愛しているから」

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 君に話したいことがいくつもあるんだよ。本当は少し前から考えていたことさ。どうしても言っておきたいことなんだ。……そう、絶対にね。

 僕ね、たぶん、君のことが大好きでたまらないんだと思う。だってさ、聞いてよ。あんなことがあったのに、いや、あんなことがあったからなのかな、ずっと頭の中は君のことばっかりなんだよ。どんなことをしていたって、君が全てを支配しているのさ。

 あとね、目をつむったら目の前に君がいるんだ。まぁ、ただ君の笑顔だけ、ただ良い思い出だけなら嬉しいことなんだけどね。その、何て言うかな。とっても辛いことも、まぶたの裏には浮かんでくる。君ついての素敵なことが見えた後には、必ず暗くて紅い記憶も流れてくるんだ。そのせいでいつも前が見えなくなるんだよ。どうしたいいんだろう。

 あぁ、今はね、空を見上げてる。君はいつも、「星空が綺麗だね」って笑いかけてくれたでしょう? 君に会うまで、僕は空なんて気にしたことがなかった。星なんてもっとね。君に会って、恋をして、君を知っていって。人生ってものの楽しさとか、感情が豊かであることの大切さを理解したんだ。君がいたからだよ。

 そうだよ、君が僕の隣にいてくれたからなんだよ。それなのに、どうして。

 僕が変われたのも、絶望から救われたのも、君のおかげなんだ。あのままだったら知るはずのなかった感情も、愛も、恋も、君が教えてくれたんだよ。そうでしょう?

 大好きなんだ。本当に愛しているんだよ。今も、昔も。それに、これからだって。

 君以外にこんな感情、抱けないよ。他の人間なんて愛せないんだ。また暗闇に戻ってしまったのかな。君がいない世界なんて。生きる意味のない人生は、放棄したっていいだろう?

 君のもとに今すぐ、一秒でも早く、いきたいんだよ。