たぴ岡文庫

今宵も語る、どこかの誰かの物語

失恋

小説「首筋」

く【首筋】嘘が見え隠れする、または縄の跡が一番美しく残る場所

小説「恋する君の」

「好きな人ができた」 君は言った。 例えば、知っていても気付きたくないことがある。それは僕の気持ちの話であり、君の心の話でもある。君があの子のことを好きだと、僕は知っていた。だってあの子を見る君の熱心な瞳や、優しいその姿勢を、嫌という程たく…

小説「雨にうたれて」

「もう、君とは会えない」 そんな冷たい言葉で突き放された。私の鼓膜を震わせたのは、貴方の声なんかじゃない。ただの機械音。どうして直接言ってくれなかったの。とめどなくあふれるこの感情は、貴方に届きもしない。落ちていくだけ。私も一緒に底まで連れ…