たぴ岡文庫

今宵も語る、どこかの誰かの物語

小説「僕は僕で、君は君。」

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 僕の夢は僕のもの。君の夢は君のもの。そこには境目がハッキリと書いてあって、僕と君は全然違うものなんだよ。僕は僕だし、君は君。それは間違えちゃいけないんだ。曖昧になっちゃいけないんだよ。

 でも、もし、もしもの話なんだけど。いつの日か、境界線が溶けてしまって、ぐちゃぐちゃになってしまったとして、僕と君はどうなるのかな。僕は僕でもあって、君でもあることになる? それとも、僕も君もわからないくらいになっちゃうの? ねぇ、君はどうだと思う。どうか教えて。

 僕は僕だけど、君も君だ。僕は僕であって、君じゃない。でも、今はそうだけど、いつかは変わるかもしれない。違うかもしれない。もしかしたら僕が君になるかもしれない。君が僕と混じるのかもしれない。

 白は白でも、その中には何色もあるんだ。僕の中にも何色もの何かがあるのかもしれない。それが君だったら、僕は君なのかな。でも、君だけじゃないかもしれない。

 じゃあ、僕は何なの?